開発中の研究プログラムでは、precision medicineに焦点を当て、個々の患者さんに適切な治療を適切なタイミングで提供することを早期に実現するため、研究成果を迅速に新たな治療法へと展開することを目指しています。
Precision medicineに基づいた最適な治療法を個々の患者さんに提供するため、トランスレーショナル医療への特異的かつ多面的なアプローチが求められています。がん免疫(I-O)療法が最も有効な患者集団を特定するためには、腫瘍固有のシグナル伝達や免疫生物学を含む、腫瘍微小環境の包括的な分析に基づき、臨床的特徴およびI-Oバイオマーカーを同定することが必要です。
I-Oバイオマーカーは、腫瘍微小環境の免疫反応を評価することに、運用可能と考えられます。
炎症性腫瘍を同定するI-Oバイオマーカーは、抗腫瘍免疫反応の存在を検測することに役立つ可能性があります3,5。
免疫系と腫瘍の間の、こうした相互作用を明らかにするI-Oバイオマーカーを同定するため、バイオマーカー研究は4つの主要分野に焦点を当てています。
I-Oバイオマーカーは、個々の患者さんに適した治療法を可能にするprecision medicineの推進に有用なツールとなり得ます。
複数のバイオマーカーを評価することで(複合バイオマーカー法)、腫瘍およびその微小環境のより正確かつ包括的な評価を提供できる可能性があります。
I-Oバイオマーカー研究の重点領域について
バイオマーカーの1つであるI-Oバイオマーカーは、抗腫瘍免疫活性の指標となります。
I-O biomarkers are dynamic and diverse
Types of Biomarkers
バイオマーカーは治療方針の決定に有用です。
(バイオマーカーにより、個々の患者さんへの適切な治療が同定され、がん治療が個別化されることを示したモデル)
バイオマーカーとは、正常または異常なプロセスもしくは疾患の徴候を示す、組織や体液(血液等)にみられる生物学的分子、細胞、各プロセスのことです29,30。
一般的に、バイオマーカーには、予後予測バイオマーカー、治療反応性予測バイオマーカー、薬力学バイオマーカーの3つのタイプがあります。
腫瘍微小環境を精確に解析するためには、複数のI-Oバイオマーカーを組み合わせて検討するアプローチが必要になると考えられます。
それぞれのバイオマーカーは免疫応答を構成し、かつ制御する因子であり、動的かつ複雑です2,3。
免疫応答は活性化と抑制性の複雑なネットワークからなるシグナル経路によって制御されています42,43。
それゆえ、バイオマーカーのいずれか1つの有無だけでは、腫瘍微小環境で起きている多様な相互作用を完全に解明することはできません3,6。
バイオマーカーを組み合わせて評価することで、免疫状態をより包括的に評価できると期待されています3。
REFERENCES–I-Oバイオマーカーの可能性を見出す