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非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカー:PD-L1 and beyond PD-L1

開催日: 2017年6月5日
開催場所:米国シカゴ

現在日本では2つのPD-1阻害薬が使用可能であるが、それぞれのPD-L1検査は使用する抗体が異なり、PD-L1検査間の結果を読み替えるharmonizationの検討が行われている。また、PD-1阻害薬の効果をより確実に予測するためにPD-L1以外の信頼性の高いバイオマーカーの開発が進められている。
そこで、本座談会では、harmonization研究に携わるTsao先生に、PD-L1検査の現状と課題、新たなバイオマーカー候補について解説いただいた。また、後藤先生には日本の肺がん患者の遺伝子スクリーニングを行うLC-SCRUM-Japanの取り組みを紹介いただき、肺がんの最新治療とPD-L1検査に精通した先生方を交えて、現在のバイオマーカーが抱える課題と今後の展望について議論いただいた。

座長

光冨 徹哉 先生

近畿大学医学部 外科学教室 呼吸器外科主任教授

出演者

Ming Sound Tsao 先生

M. Qasim Choksi Chair in Lung Cancer Translational Research, University Health Network and Princess Margaret Cancer Centre, University of Toronto, Toronto, Ontario, Canada

里内 美弥子 先生

兵庫県立がんセンター 呼吸器内科 部長

瀬戸 貴司 先生

九州がんセンター 呼吸器腫瘍科

後藤 功一 先生

国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 科長

NSCLC治療における免疫チェックポイント阻害薬の承認状況とPD-L1検査の位置づけ

光冨先生

現在、日本ではPD-1阻害薬であるニボルマブとペムブロリズマブが非小細胞肺がん(以下、NSCLC)に対して使用可能です。ニボルマブは「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に、ペムブロリズマブは「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を、対象に承認されています。
それぞれの薬剤に対しPD-L1検査が開発されていますが、検査用抗体やカットオフ値は異なっています(表1)※1-4。ニボルマブでは、Dako 28-8抗体を用いた免疫染色(以下、28-8検査)により、腫瘍細胞膜のPD-L1発現を評価対象とし、カットオフ値はないが、臨床試験では1%、5%、10%の値でニボルマブの治療効果がレトロスペクティブに検証されています。ペムブロリズマブと検査用抗体Dako 22C3を用いたPD-L1免疫染色(以下、22C3検査)が、医薬品の有効性と安全性を担保するために必須とされる「コンパニオン診断」であるのに対し、ニボルマブと28-8検査は、必須ではなくニボルマブによる治療効果の参考情報のための「コンプリメンタリー診断」と位置づけられます※5
2017年2月、ニボルマブの最適使用推進ガイドライン※6が厚生労働省より発行されましたが、PD-L1発現に関して「非扁平上皮癌の患者では、PD-L1発現率により有効性の傾向が異なることが示唆される結果が得られていることから、非扁平上皮癌の患者においてはPD-L1発現率も確認した上で本剤の投与可否を判断することが望ましい」、「ペムブロリズマブのコンパニオン診断薬である22C3検査で既にPD-L1発現率を確認した非扁平上皮癌の患者で28-8検査による再検査が難しい場合には、関連文献※7-9を参考にニボルマブ投与の可否を検討できる」と記載されています。つまり、ニボルマブの投与を検討する際、22C3検査の結果を28-8検査の結果に読み替える、いわゆるharmonizationを考慮してよいということです。
今回の座談会には、PD-L1検査の代表的なharmonization研究であるBlueprint Projectに携わっているTsao先生に参加いただいています。Tsao先生、カナダでのNSCLCに対する免疫チェックポイント阻害薬の承認状況を教えていただけますか。

Tsao先生

カナダにおいても、ニボルマブはPD-L1発現状況に関わらず、すべてのNSCLC患者の2次治療を対象に承認されています。ペムブロリズマブは日本と異なり、1次治療の適応はなく、PD-L1発現1%以上の患者を対象に2次治療として承認されています。

光冨先生

ニボルマブに関しては、日本とカナダはほぼ同じ状況ですね。それでは、Tsao先生には、PD-L1検査の現状とharmonization研究、そして新たな効果予測マーカー探索について解説いただきます。

※1 Borghaei H, et al. N Engl J Med 2015; 373: 1627-1639

※2 Brahmer J, et al. N Engl J Med 2015; 373: 123-135

※3 Reck M, et al. N Engl J Med 2016; 375: 1823-1833

※4 Herbst RS, et al. Lancet 2016; 387: 1540-1550

※5 日本肺癌学会編: 肺癌患者におけるPD-L1検査の手引き 第1.0版, 2017.

※6 最適使用推進ガイドライン ニボルマブ(遺伝子組み換え)~非小細胞肺癌~ 厚生労働省, 2017.

※7 Scheel AH, et al. Mod Pathol 29: 1165-1172.

※8 Hirsch FR, et al. J Thorac Oncol 2016; 12: 208-222.

※9 Ratcliffe MJ, et al.: Poster presented at the American Association for Cancer Research (AACR) Annual Meeting 2016; New Orleans, LA, USA; April 16-20, 2016

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